平均配当だけでは見えないもの
配当の平均は、少数の極端な高配当に強く引っ張られます。競馬と競艇の3連単を実測すると、普段の決着感に近い中央値とは数倍の差がありました。
競馬と競艇の3連単を同じ指標で比べる
| 対象 | レース数 | 平均配当 | 中央値 | 平均 ÷ 中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 中央競馬 | 35,021 | 135,707円 | 26,475円 | 約5.1倍 |
| 競艇 | 146,856 | 7,224円 | 2,550円 | 約2.8倍 |
中央値は、配当を小さい順に並べたとき中央に位置する値です。競馬なら半分のレースは26,475円以下、競艇なら半分は2,550円以下で決着したことを意味します。一方、平均は全配当の合計を件数で割るため、ごく少数の超高配当に大きく動かされます。
競馬は組み合わせ数が多く、右側の裾が長い
中央競馬は出走頭数が多く、3連単の組み合わせ数も増えます。人気薄が複数入ると配当が急激に跳ね、分布の右側に長い裾ができます。平均135,707円という値は計算として正しいものの、「よくある配当」を表してはいません。実感に近い中心は26,475円です。
さらに、35,021レースで全組み合わせを100円ずつ買ったと仮定した実測回収率は3連単で55.5%でした。平均配当が高くても、購入点数まで含めると有利にはならないことが分かります。
競艇も平均と中央値は2.8倍違う
競艇は通常6艇で、3連単の組み合わせは最大120通りです。競馬より組み合わせが少ないため配当分布は相対的に狭いものの、平均7,224円に対して中央値2,550円と、なお大きな差があります。
競艇の万舟、つまり1万円以上の3連単は16.9%でした。約6レースに1回の高配当が平均を押し上げ、残りの大多数の決着よりも「平均的に高く見える」状態を作ります。
平均、中央値、最高額の役割を分ける
| 指標 | 分かること | 注意点 |
|---|---|---|
| 平均 | 総払戻を件数で均した水準 | 少数の高額値に引っ張られる |
| 中央値 | 半分が上、半分が下になる中心 | 分布の端や最大損失は分からない |
| 万馬券・万舟率 | 高配当が起きる頻度 | 購入点数と的中確率を含まない |
| 回収率 | 購入総額に対する払戻総額 | 買い方と母数を明記する必要がある |
記事や広告で平均配当だけが強調されている場合は、中央値と必要点数が省かれていないかを見るべきです。高配当の存在は分布の特徴であり、再現可能な利益の証拠ではありません。
データの出所と限界
中央競馬はJRA-VAN Data Lab.をもとに2016年1月5日〜2026年7月5日、競艇はBOAT RACE公式配布データをもとに2021年1月3日〜2026年8月1日を集計しました。発売が成立し、配当を正しく取得できたレースを対象としています。返還、同着、特払などの扱いは元データに従います。
競技間では出走数、発売単位、控除率が異なるため、配当額の大小をそのまま優劣には変換できません。比較しているのは、各競技の中で平均が中央値からどれだけ離れているかという分布の形です。
詳細な表は 中央競馬の配当・実質控除率 と 競艇の配当・出目データ で公開しています。